これはSkyrimをプレイした記録をロールプレイ手記風に書き起こしたものです。
特に推敲などはしていないものなので興味のある方だけどうぞ。
思えばわしが本というものの偉大さを知ってから今日に至るまで、ありとあらゆる本を、そしてそこに記された智識を追ってきたように思う。
ひたすらに蒐集を続け智識の賢者とすら呼ばれたわしじゃが、本を記すということだけは今日まですることが無かった。
思えば本を読むということはひとえに、本を記すことが無くては始まらないにも関わらず今日に至ったことを恥ずかしく思うと同時に、そこに踏み込んでみるのもよいとぴっくかと思い、こうしてペンを手に取っている。
智識を記す、ということにも興味はあるが、今はただわしの蒐集の旅を綴る手記として、いつの日か書き記すかもしれぬ本の手習いとして、気ままに始めてみたいと思う。
何時手を止めるとも分からぬ手記である。
日記と言っても良いじゃろう、好きなように読んでもらいたい。
本とは、そこに記されたものは書いたものの気持ちあれど言葉と智識にすぎず、それをどのように受け取るも読み手次第、そうおもっているからにして──いや、そのへんの抗議は今は必要あるまい。
今大事なのは、わし……シャーロット・フランシア・メディチがペンを取っており、いつの日かそれを読む者が居るかもしれんということだ。
その誰かにとって、何か良いものをもたらせれば、ペンを取った甲斐があるというものだが、それを知るのはわしではないのじゃろう。
それだけは、本のままならぬところじゃ。
では、挨拶はこれぐらいにしておこう。
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わしがそこに足を踏み入れたのは、偶然ではない。
入り口に見張りとばかりにいかにも見習いと言った風情の──これはわしの観察眼だから見抜けたのじゃろうが──死霊術師が立っておった。
わしはまず間違いなくろくでもない事をしているであろうという考えと同時に、案外こういう奴らもわしの読んだことのない本を持っているかもしれん、と考えた。
別段奪い取るような気は無かったし、交渉で譲ってもらえれば上場、最悪実力行使もありえるやもしれん、程度に考えておった。
じゃが、入り口の男はいくら話しかけようとも口を聞こうとすらせなんだ、仕方なしにわしが中に入ろうとしたのを、そやつは止める素振りすらみせなんだ。
理由はすぐにわかった、入ってすぐにスケルトンと、それを操る死霊術師が襲ってきおったからな。
大方のところ誘い込んで身ぐるみをはぎ、死体を死霊術の材料にしようという魂胆だったのじゃろう。
じゃが、伊達にわしも智識の賢者などと呼ばれておらんからな、相手の魔法を振り払い氷の槍で串刺しにしてやった。
そのまますぐに引き返しても良かったのじゃが、本を探す旅の道中、このような場所に出会うのも何かの縁とおもって、そのまま足を踏み込むことにした。
もしかしたら捕まっている者がいるかもしれんと思ったというのもある。
奥に踏み込めばそこは死霊術師たちの拠点だということがはっきり理解るぐらい、そこかしこに罠が仕掛けられ死霊達がうごめくなんとも陰鬱な渓谷であった。
遅い来る骸骨どもを雷の魔法で焼き払い、氷の魔法で砕き、串刺しにして、襲いかかる死霊術師共を打払いながら慎重に奥へ奥へと進んでいった。
やがて最奥にゆくに従い、生臭い腐臭が強くなり始めてわしは顔を顰めた。
嫌な想像、当たってほしくない予想と言うのは大体にして当たることが多い、雨の降ってほしくない日の午後と言うのは往々にして雷雨である。
洞窟の最奥に居たのは二人組の死霊術師で、こやつらがここのまとめ役なのだろうことはすぐにわかった。
どうするか考えた末に、少々強引であれどわしは奴らを有無を言わさず害することにした。
どのみちここまでの道のりで襲ってきた連中よろしく話し合いは無意味であろうし、何よりこの腐臭は死体かそれに類する物があることは明確じゃった。
ならばせめて速やかにソブンガルデに送ってやるのが慈悲というやつじゃろう、歓迎されるとは思えんが。
わしの放った氷の槍は的確に二人の心の臓を貫いた。
制圧はあっけないものじゃった。
奥に踏み込んで、自分の判断は間違っていなかったと心底思うことになったがの。
そこには旅人と思われる若いレッドガード二人の遺体があった。
儀式に使われていたようで、酷い有様となっておったが……な。
仔細は省こう、このような場所で書き綴るものではあるまい、もはや動くこともなくなったその場で、短く祈りを捧げることぐらいしか出来ぬのを歯がゆく思ったものじゃ。
さて、話は此処では終わらん。
わしは本を探す旅をしているのじゃから。
盗品と非難するなかれ、このまま洞窟の中で朽ちさせるよりも、有効に活用できるものが持ってゆくのがよいとわしは思っている。
まあ、そのへんの判断は後世のものに任せるとしよう。
結論から言うと、そこで手に入れたのは少額のセプティム硬貨と、フロストフォールと第された召喚術について記載された本、そして見たこともないキラキラと輝く小さな石。
博物学に詳しくないわしでも珍しいとわかるぐらいじゃからな、それが特別なものだということはすぐに察しがついた。
これも誰か探している者が居るのかもしれん。
運命というのはすべからく巡って居るからな、このめぐり合わせの先にもおそらく何かが待っていることじゃろう。
ひとまずの探索を終えたわしは拠点たるアステリア号へと戻り、手に入れた本をそっと本棚に仕舞った。
やはり本は祭壇に置かれるよりも、洞窟に打ち捨てられるよりも、本棚に収まっているのが一番美しいと思うんじゃよ。
そうは、思わんじゃろうか?